アンダーソンが２０２４年秋冬コレクションで見せた”近所のおせっかいおばさん”をモダンにイメージした意図は？
22/2/2024 Chise Taguchi
今シーズン、JWアンダーソンが見せたショーを欧米のメディアはこぞって「nosy neighbor」コレクションだと評した。「nosy neighbor」を直訳すると「詮索好きな隣人」。それはどこにでもいるお世話好きなおばさん。まさに普通に暮らす市井の人々だ。
実際彼は、ザ・ニューヨークタイムズ紙のインタビューで「イギリスの “ちょっと変わった”おせっかいな隣人のキャラクターのアイデアを考えていました。それにグロテスクな歪みやプロポーションを少し加えたんです」と今回のコレクションについて答えている。古い世代のスタイルを新しいトレンドに取り入れるZ世代のカルチャーを彼なりに解釈した形だ。
ランウェイを歩くのは白髪まじりにも見えるアッシュカラーのピンカールのかつらを被ったモデル。ぼってりとした厚手のニット、トレンチコート、オーバーサイズのジャケットコート、ツイードのドレス、レトロな防寒下着セット…。ノスタルジックなイギリスをモダンにツイストしたアンダーソンならではのリミックス。
それは、ファッションは一部の人たちだけのものではなく、つねに普通の人々のスタイルとパワーがファッションを作るのだというメッセージを含んでいるように見える。
